移動平均線=トレンドのこと
移動平均線とは?
移動平均線(MovingAverage=MA)は価格の変動をなめらか(平滑化)にしたものであり、トレンドの方向を判断するのに使用する。
移動平均線のパラメータ
移動平均の計算で必要になるのが「期間」と「代表価格」
「期間」は、価格を平滑化する期間のこと。より長期のトレンドを判断したいときは、より長い期間を設定する。
「代表価格」はそのローソク足を代表する価格のこと。いろいろあるが、一般的に「終値」を使用することが多い。
代表価格の種類は以下の通り。
代表価格 | 意味 |
---|---|
始値 | ローソク足の始めの価格(寄り付き) |
高値 | ローソク足の最高値 |
安値 | ローソク足最安値 |
終値 | ローソク足の終わりの価格(引け) |
Middle Price | (高値+安値)÷2 |
Typical Price | (高値+安値+終値)÷3 |
Average Price | (始値+高値+安値+終値)÷4 |
移動平均線の計算例
5日単純移動平均線(5SMA)の場合、
期間 | 4日前 | 3日前 | 2日前 | 1日前 | 現在 |
---|---|---|---|---|---|
終値 | 100円 | 101円 | 102円 | 103円 | 99円 |
移動平均 | 101円 |
現在の5日単純移動平均の値は、(100 + 101 + 102 + 103 + 99) ÷ 5 = 101円
平均なのになぜ現在の値か?
ここで少し注意したいのが、現在の5日移動平均の価格が101円ということです。
本来、平均は真ん中の値を表すので、正しくは2日前の5日移動平均の価格が101円のはずです。
なぜ2日前の平均価格を現在にシフトしているのか?
本当の現在の5日移動平均の価格は、「将来の価格(1日後の価格と2日後の価格)」が分からないため計算できないので、「過去の平均価格」で代用しています。
移動平均は支持線/抵抗線になるか?
移動平均はあくまでもトレンドの方向を判断するためのもので、以下のような使いかたは副次的なものと考えます。(=おまけ)
・支持線/抵抗線
・ゴールデンクロス/デッドクロス
・エントリー(クローズ)タイミングとして使用
移動平均の価格は、「過去の平均価格」を現在にシフトしたものなので、「現在の平均価格」として使用するような使いかたは、副次的ということです。 (その概念があることによる優位性しかない)
移動平均のパラメータは何を使えばいいか?
「期間」の設定は、長期なら200 or 100、中期なら50、短期なら20 or 10でいいと思います。
※個人的に、21とか75はきりが悪いので使いません。(20も21も変わらない。)
「代表価格」の設定は、終値でいいでしょう(終値,Middle,Typical,Averageの違いはそれほどない)
移動平均線の種類
よく使われている移動平均線は以下の通り。
移動平均線 | 計算方法 |
---|---|
単純移動平均線(SMA) | 期間内の終値の平均 |
加重移動平均線(WMA) | 単純移動平均の改良で、より直近の価格を重視 |
指数移動平均線(EMA) | 単純移動平均の改良で より直近の価格を重視し、期間外データも考慮 |
修正移動平均線(RMA) | 単純移動平均の改良で期間外データも考慮 |
ハル移動平均線(HMA) | 2本の加重移動平均を計算に使用 価格変動に対する反応性が素早い |
アルノー移動平均線(ALMA) | 正規分布をフィルタリングに使用 反応性が早くだましが少ない |
移動平均線の反応性の比較
ドル円の2018年~2019年のチャートに各種移動平均線を表示して、反応性を比較しています。(パラメータは「期間:100」、「代表値:終値」)
青枠で囲んだ2018年の上昇トレンドでは、反応速度が速い順に
HMA>ALMA>EMA,WMA>SMAでした。(RMAは変動が少ないため除外)
※パラメータの設定によっても変わるので参考程度に。
また赤枠で囲んだ2019年初頭のフラッシュクラッシュのような短期間で急激に下がるような動きには、どの移動平均線を使っても対応が難しいように見えます。
移動平均線まとめ
比較的最近作られた、ハル移動平均(2005)やアルノー移動平均(2009)は、他の移動平均と比較して反応速度が速いわりに、だましも少ないように感じました。
とくに、ハル移動平均の反応速度の速さは、かなり早いと思います。
ただし、移動平均の本来の機能は、あくまでもトレンドの判断だと思いますので、使い慣れた移動平均があるならば、それを使うのが一番いいと思います。
(自分の場合はEMA10を使っています。)
検証用のインジケータはMA_ALLです。