FXタカハシのトレード日記

FXタカハシのトレード日記

日々のトレードの反省点と、役立つ知識(時系列分析、テクニカル)を要約します。

FXのボラティリティ(Volume, ATR, ヒストリカルボラティリティ)

ボラティリティとは?

ボラティリティ(Volatility)とは「値動きの激しさ」をあらわし、株でいえば「出来高(取引量)」がそれにあたります。
いっぽうFXの場合、出来高というのはありません。そのため、FXのボラティリティ出来高以外の方法で、ボラティリティを判断することになります。

FXに出来高がない理由
株の売買は、市場参加者全員が東証などの取引所で売買を行うため(取引所取引)、一元的に取引量を集計することができますが、FXの売買は世界中の銀行が各々行っているため(相対取引)、その全体の取引量を完全に集計することが難しいということです。
参考URL:【完全版】FXの出来高を確認する方法!重要性や通貨ペアも解説! | FXナビ

ボラティリティをともなうトレンドは強い

FXでも株でも、トレンド発生と同時にボラティリティが増加しているのが強いトレンドといわれます。
逆に取引量があまり変化せず発生しているトレンドは、一時的に上がっている可能性があります。
株の板情報(買い注文と売り注文の一覧表)をイメージするといいかもしれません。
うすい板(注文数が少ない)価格帯で発生した上昇トレンドは、反対に下がるのも早そうですが、十分に厚い板(注文数が多い)価格帯を突破した上昇トレンドは、その後もしばらく上がり続けそうです。

FXで使うボラティリティ系インジケータ

いろいろなインジケータはありますが、よく使われてるのは以下3つです。
・Volume
ATR
ヒストリカルボラティリティ

「Volume」は、ティック数と呼ばれる「業者のレート更新数」で、1回レートが更新されれば1ティック、2回なら2ティックです。
1点注意して欲しいのが、あくまで更新数(配信数)なので、1pips動いても0.1pipsしか動かなくても同じ1ティックでカウントします。
参考URL:https://www.oanda.jp/lab-education/dictionary/tick/

ATR」は、「値幅の移動平均」で、値幅は以下3つのなかの最も大きな値を選択します。
①当日高値-当日安値
②当日高値ー前日終値
③前日終値ー当日安値
FXの場合、ほとんど①が最大になります。
※FXは株と違って、値が飛ぶことがあまりないので(窓開けのぞく)当日安値>前日終値や、当日高値<前日終値になることがほぼない

ヒストリカルボラティリティ」は「リターンの標準偏差を年率換算したもの」で、簡単に言えば「価格の変動リスク」を意味します。

計算方法

VolumeとATRの計算例です。
パラメータは「期間」5日間「平滑化」SMA

期間 4日前 3日前 2日前 1日前 現在
ティック数 700 600 500 400 800
高値 100 101 102 103 103
安値 98 100 101 102 99
値幅 2 1 1 1 4
Volume
(700+600+500+400+800)÷5
600tick
ATR
(2+1+1+1+4)÷5
1.8円

ヒストリカルボラティリティの計算例です。
パラメータは「期間」5日間「1年の営業日」250

期間 5日前 4日前 3日前 2日前 1日前 現在
終値 100 100.5 101 102 103 101
リターン
ln(当日終値/前日終値)
約0.5% 約0.5% 約1% 約1% 約-2%
リターンの標準偏差 約1%
ヒストリカルボラティリティ
リターンの標準偏差 x √250
約16%

リターン、標準偏差、年率換算について補足

リターンについて
リターンは価格の変動率のことで、計算方法が2種類あります。
例)前日終値100円、当日終値110円の場合
①リターン (110 - 100) ÷ 100 = 0.1 = 10%
②対数リターン ln(110 / 100) = 0.095…≒ 0.1 = 約10%
意味は「前日終値と比べて当日終値が10%増加した」です。
※対数リターンはリターンの近似値になる。またFXでは対数リターンを使う場合が多い

リターンの標準偏差について
リターンの標準偏差は、価格の変動リスクを表します。
リスクは、プラス方向とマイナス方向の両方にあることに注意してください。(1日+30%の利益率を見込める手法は-30%になる可能性も同じくらいある)
例)当日終値が100円で、日次リスクが1%の場合
意味は「±1%の変動リスクがある ⇒1日当たり±1円くらい動く可能性がある

また標準偏差については、こちらも参照ください。
fx-takahashi.hatenablog.com

リスクの年率換算について
年率換算は、日次リスクを年次リスクに変換することです。
例)当日終値100円の日次リスク1%を年率換算(250営業日)すると
1% x √250 = 約16%
意味は「±16%の変動リスクがある ⇒ 1年当たり±16円くらい動く可能性がある
※なぜ√250をかけるか? 価格変動リスクは時間の平方根で大きくなるから

Volume, ATR, ヒストリカルボラティリティのどれを使えばいいか?

3つをまとめて表示できるインジケータを作成し、日足チャートで比較してみました。
パラメータは「期間」20「MA」SMA

f:id:FXtakahashi:20200503184329p:plain
ボラティリティ系インジケータの比較
結果は、ボラティリティの上昇下降の反応が速い順に
ヒストリカルボラティリティATR > Volume でした。
その反面だましが少なく滑らかなのはVolumeで、またヒストリカルボラティリティATRが似たような動きになることを確認しました。

以上を参考に、ボラティリティが重要になってくる「スキャルピング」と「BO」で、インジの使い分けを考えると
スキャルピングのようにいち早くボラティリティの変化をとらえたい場合は、反応が早い「ヒストリカルボラティリティ」や「ATR」を、
BOのように、もっと長い時間軸で高ボラティリティが持続することを確認したい場合は、だましが少ない「Volume」を使うのがいいかもしれません。
※パラメータの調整によっても変わるのであくまで参考意見です。

インジケータのパラメータは何を使えばいいか?

Volume(Tick数)については、平滑化せずそのまま使う人も多いです。平滑化するならSMA or EMA。期間は10 or 20 でいいと思います。
ATRについては、開発者のワイルダーはRMA14で平滑化するのを推奨しています。ただこれだと反応が少し遅いので、より反応を早くしたい場合は EMA or SMAで、期間は10 or 20でいいと思います。
ヒストリカルボラティリティについては、移動標準偏差の期間は、10 or 20 を使う人が多いようです。

ボラティリティまとめ

ボラティリティは「値動きの激しさ」を表し、ボラティリティをともなうトレンドは強い。
Volume(Tick数)は「レート更新数」、ATRは「高安値幅の移動平均」、ヒストリカルボラティリティは「価格の変動リスク」
反応が早いのは、ATRヒストリカルボラティリティ。だましが少ないのは、Volume。
自分の場合はプライスアクションを見たいので、Tickごとの一定期間の最大pipsをいちおう確認しています。(ビッグプレイヤーがエントリーしたかどうか)

画像のインジケータ(検証用に作成)

TradingViewの「Volume_ATR_HistoricalVolatility」です。 jp.tradingview.com