トレード手法の性能を評価
勝率とリスクリワード
FXの場合「トータルで勝っているか?」は勝率だけではわかりません。
例えば、100回中99回が利益だったとしても、その利益分を失うほどの大きな損失を1回出せば、勝率99%でトータルでは負けです。
つまり「勝率」は「リスクリワード」とセットで考えなくてはいけません。
リスクリワード(Risk Reward)とは?
リスクは「損失」リワードは「利益」を意味し、リスクリワードは「利益と損失の比率」を表します。
なので、リスクリワードが分かれば、「損小利大」or 「損大利小」が分かります。
リスクリワードの求め方
勝ち数 | 負け数 | 1回あたりの平均利益 | 1回あたりの平均損失 |
---|---|---|---|
40 | 60 | ¥2,000 | ¥1,000 |
勝率は、40÷(40+60) = 0.4 = 40%
リスクリワード比は、2000 : 1000 = 2 : 1(リスクリワード比率は、2000 ÷ 1000 = 2)
1回のトレードあたり、利益と損失の比率が2 : 1(損失を1としたとき利益が2)なので、これは利益の方が大きい「損小利大」トレードです。
トータルで勝つためにそのリスクリワードで必要な勝率
リスクリワードによって、トータルで勝つために最低限必要な勝率は変わります。
(リスクリワードごとの損益分岐点の勝率)
以下にその求め方と、早見表を記述します。
必要な勝率の求め方
1 ÷ (リスクリワード比率 + 1)
リスクリワードごとに必要な勝率の早見表
リワード | リスク | リスクリワード比率 | 必要な勝率 |
---|---|---|---|
5 | 1 | 5 | 16.66% |
4 | 1 | 4 | 20% |
3 | 1 | 3 | 25% |
2 | 1 | 2 | 33.33% |
1 | 1 | 1 | 50% |
1 | 2 | 0.5 | 66.66% |
1 | 3 | 0.33 | 75% |
1 | 4 | 0.25 | 80% |
1 | 5 | 0.2 | 83.33% |
ここで大事なのは、損小利大であるほど必要な勝率が下がることです。 (損大利小なほど必要な勝率が上がる)
プロフィットファクター(Profit Factor)
プロフィットファクターが分かれば「トータルで勝っているか?」が分かります。
プロフィット ファクターの求め方
トータル利益 ÷トータル損失
※1より大きければトータルプラス、1より小さければトータルマイナスです。
最大ドローダウン(Draw Down)
最大ドローダウンが分かれば「現在どの程度資産を減らしているか?」が分かります。(過去に一番資産があったときと比べて)
最大ドローダウンの求め方
最大ドローダウン額は、過去最高資産 - 現在資産
最大ドローダウン率は、(過去最高資産 - 現在資産) ÷ 過去最高資産
5日前 | 4日前 | 3日前 | 2日前 | 1日前 | 現在 | |
---|---|---|---|---|---|---|
資産推移 | 100,000 | 120,000 | 80,000 | 110,000 | 150,000 | 130,000 |
過去最高資産 | 100,000 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | 150,000 | 150,000 |
最大ドローダウン額 | 0 | 0 | 40,000 | 10,000 | 0 | 20,000 |
最大ドローダウン率 | 0% | 0% | 33% | 8% | 0% | 13% |
※最大ドローダウン率は10%以下が望ましいとされています。
期待リターンとシャープレシオ
この2つの指標を使う場合は、まずリスクリターンについて理解する必要があります。
リスクリターン(Risk Return)とは?
投資をするうえで、最も基本になる概念が「リスクリターン」です。
これはトレード手法の分析に限らず、チャートの分析でも使われます。
まず元々の意味は、リターンは「変化率」リスクは「リターンのばらつき」です。
リターンは、(当日の値 - 前日の値) ÷ 前日の値
リスクは、上記リターンの標準偏差
※紛らわしいですが、リスクリワードの「リスク(=損失)」とは意味が異なるので注意してください。
トレード手法の分析では、対象となる値が「資産」なので
リターンは、(当日の資産 - 前日の資産) ÷ 前日の資産
リスクは、上記リターンの標準偏差
意味は、リターンが「資産の損益率」リスクが「資産の損益率のばらつき」です。
チャート分析では、対象となる値が「レート」に変わるだけです。
リターンは、(当日レート - 前日レート) ÷ 前日レート
リスクは、上記リターンの標準偏差
意味は、リターンが「レートの変化率」リスクが「レートの変化率のばらつき」です。
また、標準偏差については以前にまとめたものがあります。 fx-takahashi.hatenablog.com
期待リターンとシャープ レシオの求め方
期待リターンは、リターンの平均
シャープレシオは、期待リターン ÷ リスク
5日前 | 4日前 | 3日前 | 2日前 | 1日前 | 現在 | |
---|---|---|---|---|---|---|
資産推移 | 100,000 | 120,000 | 80,000 | 110,000 | 150,000 | 130,000 |
損益額 | 20,000 | -40,000 | 30,000 | 40,000 | -20,000 | |
リターン | +20% | -33% | +37.5% | +36% | -13% | |
期待リターン | +10% | |||||
リスク | 31% | |||||
シャープレシオ | 0.322 |
※シャープレシオは1.0以上が望ましいとされています。
上記例のシャープレシオを判断するなら「期待リターンはプラスでも、リスクが高すぎて総合的にはダメ」
トレード手法分析における、リターンとは「資産の損益率」のことでした。
期待リターンはその平均値なので、損益率の期待値がプラスならプラス、マイナスならマイナスになります。
シャープレシオは、資産の損益率の期待リターン ÷ 資産の損益率のリスク なので、
値が大きいほど、総合的にみてトレードが安定しているといえます。(=分子の期待リターンが大きい or 分母のリスクが小さい )
トレードの評価手法まとめ
・勝率はリスクリワードとセットで考える。
・リスクリワードは「損小利大か損大利小か?」
・プロフィットファクターは「トータルで勝っているか負けているか?」
・最大ドローダウンは「現在どの程度資産を減らしているか?」
・期待リターンは「損益率の期待値がプラスかマイナスか?」
・シャープレシオは「損益率とそのばらつきを考慮してトレードが安定しているか?」
FXに聖杯はありません。勝率とリスクリワードの関係を知っているだけでも
勝率90%の手法!⇒じゃあリスクリワード1:10くらい⇒10pips逆差しの1pips利確の手法って?? みたいな判断材料にもなるかと思います。