FXタカハシのトレード日記

FXタカハシのトレード日記

日々のトレードの反省点と、役立つ知識(時系列分析、テクニカル)を要約します。

FXの取引時間とイベント~市場ごとの特徴とアノマリー

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FXの取引時間について

FXは平日24時間(月曜~金曜)、いつでも取引できます。
土日だけは世界中のほとんどの市場が休みになるので、取引できません。
※中東の一部地域をのぞく

FXと休祝日について

元旦とクリスマスは、世界中のほとんどの市場が休みになるのでFXの取引もできません。
それ以外の祝日の場合、FXは取引できます。

例)日本のゴールデンウィーク
休みなのは日本市場だけで、世界の市場(ロンドン、NY)は通常通り動いているので、 そのため外国為替も通常通り取引可能。
つまり「その国固有の祝日」は、その国の市場が休みになるだけで、FX取引は休みにならない。

FXの3大市場

世界の外国為替市場は、世界の都市の数だけありますが、
取引量が多いのは、日本(東京)、イギリス(ロンドン)、アメリカ(NY)です。
なかでもロンドン市場と、NY市場の取引量が群を抜いて大きいです。

サマータイム(夏時間/冬時間)について

アメリカやヨーロッパ各国では、サマータイムと呼ばれる制度があります。
簡単に説明すると、「日の出が早くなる時期にあわせて、行動時間も1時間早くして、太陽光が出ている時間を有効利用しよう」という試みです。
※9時出社が8時出社になるイメージ(サマータイムのあいだ時計の針を1時間進める)

FXでなぜ夏時間/冬時間を意識するか?
主要市場の開始時刻というのは、一時的にボラティリティが上がる重要なポイントです。
また、時間帯のイベント(ダウ開始やフィックス)なども、1時間ずれてくるので、FX取引においても夏時間/冬時間の切り替えを意識する必要があります。

アメリカとヨーロッパ各国のサマータイムの導入時期は以下の通り。

夏時間
アメリ 3月の第2日曜日~11月の第1日曜日
ヨーロッパ 3月最終日曜日~10月最終日曜日

※これを基本に、FX業者によって切り替え時期は多少変動するので注意してください。

時間帯ごとのイベントとボラティリティ

時間帯ごとのイベントとボラティリティをまとめました。
※夏時間です。冬時間の場合、欧米のイベントは1時間遅くなるので注意してください。

日本時間 市場 イベント ボラティリティ
(5が最大)
06:00 オセアニア 00分 NYクローズ 345
07:00 オセアニア 345
08:00 (東京) 345
09:00
  
東京
  
00分 東京オープン日経株式開始
55分 東京仲値発表
123
10:00 東京 1245
11:00 東京 345
12:00 東京 345
13:00 東京 345
14:00 東京 345
15:00 (ロンドン) 00分 東京クローズ 1245
16:00
  
ロンドン
  
00分 ロンドンオープン
30分 FTSE株式開始
123
17:00 ロンドン 123
18:00 ロンドン 1245
19:00 ロンドン 1245
20:00 ロンドン 1245
21:00 NYロンドン 00分 NYオープン 1234
22:00 NYロンドン 30分 NYダウ株式開始 1234
23:00 NYロンドン 00分 NYオプションカット 1234
00:00 NYロンドン 00分 ロンドンフィックス 123
01:00 NY 00分 ロンドンクローズ 345
02:00 NY 345
03:00 NY 345
04:00 NY 2345
05:00 NY 2345

FXの時間帯イベントの補足とかアノマリー

NYクローズ(夏6時/冬7時)

FXの1日の単位は、NYクローズが起点(終点)です。またスワップポイントはNYクローズをまたいだ時点で付与されます。

東京オープン(9時)

東京市場ではロンドン/NY市場と比べると、トレンドが出にくいです。これは日本の個人投資家が「逆張り」が好きなことと関係あるかもしれません。

東京仲値発表(9時55分)

ゴトウビには、日本の輸入企業のドル決済需要で、ドルが買われるアノマリーがあります。また、仲値発表後ドル売りに傾く傾向があることも覚えておきましょう。

ロンドンオープン(夏16時/冬17時)

通称「4時の人」です。ロンドン市場開始とともにトレンドが発生することを狙った「ロンドンブレイク」と呼ばれる手法が有名です。

NYオープン(夏21時/冬22時)

通称「9時の人」です。NYオープンから3時間のあいだはボラティリティが非常に高くなり、チャートの性質が大きく変わるので注意が必要です。

NYダウ開始(夏22時30分/冬23時30分)

ドル円や、日経に一番影響を与える金融商品は、NYダウです。

NYオプションカット(夏23時/冬24時)

オプションの締め切り時間です。大きなオプションのある価格にレートが引き寄せられたり、オプションバリアの攻防で上下に激しく動いたりすることがあります。

ロンドンフィックス(夏24時/冬25時)

ロンドンフィックスまでの5分間が、最もボラティリティが高くなる時間です。大口の取引が頻発し値動きが非常に荒くなるので注意しましょう。

ロンドンクローズ(夏25時/冬26時)

ロンドン市場が終わると、ボラティリティが一気に低くなります。あまり無理してトレードする必要はないかもしれません。

トレード結果5月第2週 ドル円106円で反発し雇用統計で上昇

f:id:FXtakahashi:20200509083130p:plain 今週のドル円は、水曜日に直近安値106.4円を割った後106円までじりじり下降した。 このまま106円も割るかと思われたが、ひげ先だけ105円台をつけた後は反発し、金曜の雇用統計の結果を受けて一時106.7まで上昇した。
ただ、この上昇を「トレンド転換」と考えるくらいには強くなかった気がします。依然ドル円は一時的な上げで、下降するのを何とか防いでいる印象があり、まだまだ下降トレンド優勢でしょう。

来週のポイントになる価格帯は
①まず高値106.7円、安値106.2円の攻防
②高値抜けた場合は107円、安値抜けた場合106円(さらに下)を意識

f:id:FXtakahashi:20200509161505p:plain 今週はちょい負けでした。5月に入ってから、ボラティリティが低いときにはエントリーを抑えるようにしたのでトレード回数は以前の1/2ほどになりました。
トータルpipsは「-3pips」とそれほど負けてないのに、トータル損失が「1万円」をこえるのは、たぶんロットサイジングが固定でないからです。(自信がないときは少なめとか)
自分の場合は、それがあまりいい結果につながってないです。(結果論だが、フルロット固定なら1千円ほどのマイナスに抑えられた)
このようにロットサイジングやトレーリングストップは、誰がやっても必ずいい結果になるわけではないので、そこら辺は自分の手法と相談しながらになるかと思います。

FXのボラティリティ(Volume, ATR, ヒストリカルボラティリティ)

ボラティリティとは?

ボラティリティ(Volatility)とは「値動きの激しさ」をあらわし、株でいえば「出来高(取引量)」がそれにあたります。
いっぽうFXの場合、出来高というのはありません。そのため、FXのボラティリティ出来高以外の方法で、ボラティリティを判断することになります。

FXに出来高がない理由
株の売買は、市場参加者全員が東証などの取引所で売買を行うため(取引所取引)、一元的に取引量を集計することができますが、FXの売買は世界中の銀行が各々行っているため(相対取引)、その全体の取引量を完全に集計することが難しいということです。
参考URL:【完全版】FXの出来高を確認する方法!重要性や通貨ペアも解説! | FXナビ

ボラティリティをともなうトレンドは強い

FXでも株でも、トレンド発生と同時にボラティリティが増加しているのが強いトレンドといわれます。
逆に取引量があまり変化せず発生しているトレンドは、一時的に上がっている可能性があります。
株の板情報(買い注文と売り注文の一覧表)をイメージするといいかもしれません。
うすい板(注文数が少ない)価格帯で発生した上昇トレンドは、反対に下がるのも早そうですが、十分に厚い板(注文数が多い)価格帯を突破した上昇トレンドは、その後もしばらく上がり続けそうです。

FXで使うボラティリティ系インジケータ

いろいろなインジケータはありますが、よく使われてるのは以下3つです。
・Volume
ATR
ヒストリカルボラティリティ

「Volume」は、ティック数と呼ばれる「業者のレート更新数」で、1回レートが更新されれば1ティック、2回なら2ティックです。
1点注意して欲しいのが、あくまで更新数(配信数)なので、1pips動いても0.1pipsしか動かなくても同じ1ティックでカウントします。
参考URL:https://www.oanda.jp/lab-education/dictionary/tick/

ATR」は、「値幅の移動平均」で、値幅は以下3つのなかの最も大きな値を選択します。
①当日高値-当日安値
②当日高値ー前日終値
③前日終値ー当日安値
FXの場合、ほとんど①が最大になります。
※FXは株と違って、値が飛ぶことがあまりないので(窓開けのぞく)当日安値>前日終値や、当日高値<前日終値になることがほぼない

ヒストリカルボラティリティ」は「リターンの標準偏差を年率換算したもの」で、簡単に言えば「価格の変動リスク」を意味します。

計算方法

VolumeとATRの計算例です。
パラメータは「期間」5日間「平滑化」SMA

期間 4日前 3日前 2日前 1日前 現在
ティック数 700 600 500 400 800
高値 100 101 102 103 103
安値 98 100 101 102 99
値幅 2 1 1 1 4
Volume
(700+600+500+400+800)÷5
600tick
ATR
(2+1+1+1+4)÷5
1.8円

ヒストリカルボラティリティの計算例です。
パラメータは「期間」5日間「1年の営業日」250

期間 5日前 4日前 3日前 2日前 1日前 現在
終値 100 100.5 101 102 103 101
リターン
ln(当日終値/前日終値)
約0.5% 約0.5% 約1% 約1% 約-2%
リターンの標準偏差 約1%
ヒストリカルボラティリティ
リターンの標準偏差 x √250
約16%

リターン、標準偏差、年率換算について補足

リターンについて
リターンは価格の変動率のことで、計算方法が2種類あります。
例)前日終値100円、当日終値110円の場合
①リターン (110 - 100) ÷ 100 = 0.1 = 10%
②対数リターン ln(110 / 100) = 0.095…≒ 0.1 = 約10%
意味は「前日終値と比べて当日終値が10%増加した」です。
※対数リターンはリターンの近似値になる。またFXでは対数リターンを使う場合が多い

リターンの標準偏差について
リターンの標準偏差は、価格の変動リスクを表します。
リスクは、プラス方向とマイナス方向の両方にあることに注意してください。(1日+30%の利益率を見込める手法は-30%になる可能性も同じくらいある)
例)当日終値が100円で、日次リスクが1%の場合
意味は「±1%の変動リスクがある ⇒1日当たり±1円くらい動く可能性がある

また標準偏差については、こちらも参照ください。
fx-takahashi.hatenablog.com

リスクの年率換算について
年率換算は、日次リスクを年次リスクに変換することです。
例)当日終値100円の日次リスク1%を年率換算(250営業日)すると
1% x √250 = 約16%
意味は「±16%の変動リスクがある ⇒ 1年当たり±16円くらい動く可能性がある
※なぜ√250をかけるか? 価格変動リスクは時間の平方根で大きくなるから

Volume, ATR, ヒストリカルボラティリティのどれを使えばいいか?

3つをまとめて表示できるインジケータを作成し、日足チャートで比較してみました。
パラメータは「期間」20「MA」SMA

f:id:FXtakahashi:20200503184329p:plain
ボラティリティ系インジケータの比較
結果は、ボラティリティの上昇下降の反応が速い順に
ヒストリカルボラティリティATR > Volume でした。
その反面だましが少なく滑らかなのはVolumeで、またヒストリカルボラティリティATRが似たような動きになることを確認しました。

以上を参考に、ボラティリティが重要になってくる「スキャルピング」と「BO」で、インジの使い分けを考えると
スキャルピングのようにいち早くボラティリティの変化をとらえたい場合は、反応が早い「ヒストリカルボラティリティ」や「ATR」を、
BOのように、もっと長い時間軸で高ボラティリティが持続することを確認したい場合は、だましが少ない「Volume」を使うのがいいかもしれません。
※パラメータの調整によっても変わるのであくまで参考意見です。

インジケータのパラメータは何を使えばいいか?

Volume(Tick数)については、平滑化せずそのまま使う人も多いです。平滑化するならSMA or EMA。期間は10 or 20 でいいと思います。
ATRについては、開発者のワイルダーはRMA14で平滑化するのを推奨しています。ただこれだと反応が少し遅いので、より反応を早くしたい場合は EMA or SMAで、期間は10 or 20でいいと思います。
ヒストリカルボラティリティについては、移動標準偏差の期間は、10 or 20 を使う人が多いようです。

ボラティリティまとめ

ボラティリティは「値動きの激しさ」を表し、ボラティリティをともなうトレンドは強い。
Volume(Tick数)は「レート更新数」、ATRは「高安値幅の移動平均」、ヒストリカルボラティリティは「価格の変動リスク」
反応が早いのは、ATRヒストリカルボラティリティ。だましが少ないのは、Volume。
自分の場合はプライスアクションを見たいので、Tickごとの一定期間の最大pipsをいちおう確認しています。(ビッグプレイヤーがエントリーしたかどうか)

画像のインジケータ(検証用に作成)

TradingViewの「Volume_ATR_HistoricalVolatility」です。 jp.tradingview.com

トレード結果5月第1週 ドル円107円割れるも月末フィックスで大反発

f:id:FXtakahashi:20200502165345p:plain 今週のドル円は、火曜日に107円を大きく割ったあと安値106.4円付近までじりじり下降した。 このまま106円も割って105円台突入をイメージしていたが、木曜日の月末フィックスで大反発、高値107.5円まで反発した。 その後は上値を抑えられ、金曜日NYクローズ時点での価格は、106.8円付近。

最近のドル円は、NYダウ開始やロンドンフィックスなど、一時的にボラティリティがあがる時間をねらって大きく反発することが多い。 逆に言えば、強いトレンドの形を作って上昇しないうちは、やや下降トレンド優勢なような気がする。

来週のポイントになる価格帯は
①まず高値107.1円、安値106.6円の攻防
②高値抜けた場合は107.5円、安値抜けた場合106.4円を意識
③さらに安値抜けた場合105円台を意識

f:id:FXtakahashi:20200502165425p:plain 今週も負けて、結局4月のトレードは全週間でマイナスという悲惨な結果に終わった。
敗因は、
①ポジりすぎ(3月の勢いそのままにポジりまくったら、4月のボラが超低い)
②ショートが下手(基本ロングが多いので、下降トレンドがきつい)
③BOをやり出してる(まだ退場してないのが不思議なくらいリスクをとってる)

これだけぼろくそに負けた割には、なぜか気持ちはまだ折れてはいないので、5月は何とか巻き返したい。 (不思議な自信がある??頭がおかしくなったのかも)

トレード結果4月第4週 ドル円上値も下値も重い

f:id:FXtakahashi:20200425151259p:plain

今週のドル円は、上値108円/下値107.3円を抜けることができないレンジ相場が続いた。

唯一大きく動いたのが、24日の「一部メディアの日銀追加緩和検討報道(無制限の国債買い入れなど)」だったが、108円を少し超えたところで反発し、上値の重さを確認しただけに終わった。

日銀政策会合は27日(月曜)の昼頃終了予定なので、直後の発表や15:30の黒田総裁の会見時には、注意しておきたい。

来週のポイントになる価格帯は前週と変わらず
①高値108円、安値107.3円の攻防
②高値抜けた場合は108.5円、安値抜けた場合107円を意識

f:id:FXtakahashi:20200425151407p:plain 今週のトレードはマイナスでした。(とうとう20万円切りそう・・・)
普段はドル円しかさわらないんですが、あまりにも動かないので、新しい試みをいろいろ試しています。
・一番動いている通貨をトレードする(ドル円/ユロドル/オジドル/ポンドルの中から)
・ショートの割合をもう少し多くする(現在ロング65%ショート35%くらい)
・エントリー回数を抑える(損切貧乏がひどすぎ)
・予測区間保有時間)をもう少し伸ばす。(MAX15分くらいで)
手ごたえはまだありませんが、ボラティリティのない相場でも安定して勝てるようになりたいです。

大数の法則で逆張りは有効か?

大数の法則とは?

たくさん回数を重ねれば、実際に起こる確率は、真の確率に近づいていく」です。
カジノのルーレットで例えると、
赤(黒)の出る確率が50%として、たくさん回数を重ねれば、実際に赤のでる確率も50%に近づいていきます。
※話を簡単にするため、赤の確率は50%にしてます。(実際は0と00があるので、47%くらい)

大数の法則逆張りは使えるか?

赤(黒)が50%の確率ででるルーレットで、赤と黒の出た回数が偏っていたとします。
過去1000回の結果:赤400回、黒600回

ここから1000回勝負するとして、あなたなら赤と黒のどちらに賭けるでしょうか?
大数の法則があるなら、赤の逆張りが有利でしょうか??
(赤の現在の確率40%はこの先回数を重ねれば、真の確率50%に収束するはず)

大数の法則をシミュレーション

ルーレットの回数が偏った時に、逆張りは有効なのか? をシミュレーションしました。

【シミュレーションの内容】
・シミュレーション数10万回を1セットとして、計10セットおこなう。
・赤(黒)の出る確率は50%とする

【シミュレーションの目的】
・実際の確率は、真の確率50%に収束するか?
・実際の赤(黒)が出る回数が偏ったときに、その期待値に収束する動きがあるか?

結果は以下の通り。

f:id:FXtakahashi:20200423142043p:plain
大数の法則のよくある誤解
上のグラフが確率の収束、下のグラフが回数の収束の結果です。
確率は、真の確率50%に収束していることが確認できます。
ただし、回数の偏りはその期待値に収束していません。(むしろ広がっている)
つまり、ルーレットの赤黒の回数がどちらかに偏っても、逆張りの優位性はありません。

なぜ確率が収束するのに、回数はその期待値に収束しないか?

少しイメージしにくいと思いますが、
全体の範囲で大きくみたときに確率は収束しますが、実際の回数はその期待値へ収束しません(むしろ期待値から離れていく)
以下のようなイメージです。

試行数 実際の確率 実際の回数 回数の期待値 回数の期待値との差
100 55% 55 50 +5
1000 53% 530 500 +30
10000 51% 5100 5000 +100
100000 50.2% 50200 50000 +200

確率は50%に収束しても、その分試行数も多くなるので、期待値(試行数 * 50%)との差は広がります。

大数の法則は実際のルーレットに当てはまらない

1点注意なんですが、ここまでの内容は理論(大数の法則)の話です。
・確率が50%で、独立であることを前提(前の試行結果が現在の試行に影響を与えない)
・過去にどれだけ赤(黒)が連続しようと、次に赤(黒)が出る確率は50%

いっぽう、実際のルーレットやFXの確率は違います。
赤と黒の確率は50%ではないし、独立でもないでしょう。
・ルーレットのシューターがある程度出目を狙えるとしたら、確率は50%でない
・シューターも人なので、過去の良し悪しが現在の試行に影響を与える
・陰線が連続するほど、陽線が出る確率は上がる
・経済に影響を与えるくらい為替が下がれば、国が介入する

つまり、確率が独立で50%ならば、こちら側に勝つ手段はありませんが、 実際のルーレットやFXでは、人間の「感情」や「作為」が入る分こちら側にも勝つ手法があるということです。

大数の法則まとめ

大数の法則で、確率は収束するけど、期待値との差は収束しない。
確率が独立なら、回数の偏りを利用した逆張りに優位性はない。
大数の法則は実際の投資やギャンブルには当てはまらない(人間がすることの確率は独立でないことがほとんど)

コード

シミュレーションに使用したコードは以下の通りです(環境:JupyterLab 言語:R)

library(tidyverse)
options(repr.plot.width=12, repr.plot.height=4)
options(scipen=100, warn=-1)

##### 大数の法則 シミュレーション #####
count = 100000 # 10万試行
set = 10 # 10セット
list1 = list()
list2 = list()
for(h in 1:set) {
    deme.vec = numeric(count) 
    for (i in seq_along(deme.vec)) {
        deme.vec[i] = sample(c(0,1), 1)
    }
    list1 = c(list1, list(cumsum(deme.vec) / seq_along(deme.vec)))  # 確率
    list2 = c(list2, list(0.5 * seq(deme.vec) - cumsum(deme.vec)))  # 回数の期待値との差
}
df1 = data.frame(do.call(cbind, list1))
df2 = data.frame(do.call(cbind, list2))
df1 %>% gather(key, value) %>% mutate(sim_count = rep(1:count, set)) -> df1.gg
df2 %>% gather(key, value) %>% mutate(sim_count = rep(1:count, set)) -> df2.gg

##### 確率は収束する #####
ggplot(df1.gg, aes(sim_count, value, col=key)) + geom_line() + 
geom_hline(yintercept=0.5, color="red", size=1, alpha=0.5) +
ylim(0.45, 0.55) +
theme(legend.position="none", text = element_text(size=16)) +
labs(title="", x="試行数", y="確率")

##### 期待値の偏りは収束しない #####
ggplot(df2.gg, aes(sim_count, value, col=key)) + geom_line() + 
geom_hline(yintercept=0, color="red", size=1, alpha=0.5) +
theme(legend.position="none", text = element_text(size=16)) +
labs(title="", x="試行数", y="期待値との差")

ボリンジャーバンド(標準偏差の68-95ルール)

f:id:FXtakahashi:20200418151947p:plainチャートはTradingView
無料株式チャート、株式相場とトレードのアイデア — TradingView
インジケータは内蔵されてるBB、BB%B、BBW です。

ボリンジャーバンドとは?

ボリンジャーバンド(BollingerBand)は、価格変動のばらつきの範囲をあらわす。(標準偏差の仕組みを使っている)
おもな使用目的は、以下の通り。
①現在価格が価格変動のばらつきのどのあたりにいるか?(±2σを超えたか?)
②価格変動のばらつきは大きいか、小さいか?(エクスパンション or スクイーズ

また、ボリンジャーバンドを補助するインジケータとして「%B」と「BandWidth」がある。それぞれ
「%B」は、①現在価格がどのあたりにいるか?に注目しており、
「BandWidth」は②価格変動のばらつきは大きいか?に注目している。
※慣れてくれば、ボリンジャーバンドだけも判断可能。

ボリンジャーバンドのパラメータ

ボリンジャーバンドに設定するパラメータは「期間」と「Zスコア」
「期間」は、単純移動平均線SMA(=ボリンジャーの中心バンド)の期間、
「Zスコア」は、上方バンドと下方バンドに設定するばらつき具合になる。
※おもに、中心バンドにSMA20、上方(下方)バンドに±2σを使うことが多い。

ボリンジャーバンドの計算例

「期間」に5、「Zスコア」に2を設定する場合
(=中心バンドが5SMA、上方下方バンドが±2σ)

期間 4日前 3日前 2日前 1日前 現在
終値 100円 101円 102円 103円 99円
移動平均         101円
標準偏差(+1σ)         1.58円
+2σ         3.16円 (1.58*2)
-2σ         -3.16円
上方バンド+2σ         104.16円 (101+3.16)
下方バンド-2σ         97.84円

ボリンジャーバンドの中心バンドは101円(=5SMA)
上方バンドは104.16円、下方バンドは97.84円
標準偏差は不偏分散を使用)

標準偏差、Zスコア、±2σってなに?

簡単に説明すると
Zスコアは、ばらつきの単位。±1σや±2σのこと
標準偏差はZスコア+1σの値です。

標準偏差の何が便利か?
標準偏差と平均が分かれば、そのデータが全体のどのあたりに位置するかを大体把握できます。その理由は、標準偏差には68-95ルールというのがあり、平均±1σの範囲に約68%の確率で、平均±2σの範囲に95%の確率でデータが収まる。というのがもう既に分かっているからです。
※ただしデータが正規分布しているのが前提

例)全国の身長の平均が170cmで標準偏差が6cmの場合、A君の身長182cmは全体から見てどのあたりに位置するか?
身長182cmは平均170cmよりも12cm高い
標準偏差(1σ)6cmだから、標準偏差2つ分高い
⇒全体の分布の平均から+2シグマの位置にいる
⇒A君の身長は全体の分布から見て上位2.5%の位置にいる(68-95ルールにより)

そしてボリンジャーバンドで68-95ルールを考えてみると、現在価格が上方(下方)バンドをこえたときに逆張りすれば、95%の確率で、バンド内に戻ってくることになります。(有名なボリンジャーバンドの2シグマ逆張り

ただし、結論から言うとこれは上手くいきません。なぜならFXの価格は正規分布していないからです。(分布のすその部分がもっと広い)2シグマ越えでうっかり逆張りすると、3シグマ以上の価格をつけ大損失を被る可能性が十分にあるので注意してください。

標準偏差正規分布についてもっと詳しく知りたい方は、以前動画でまとめたものがありますので、こちらを参照ください。

www.youtube.com

ボリンジャーバンドのパラメータは何を使えばいいか?

「期間」の設定はSMA20。「Zスコア」の設定は2 or 3でいいと思います。
細かい部分で、中心線をEMAにするとか、標準偏差を普通の分散からでなく、不偏分散をつかうとかありますが、それほど違いはありません。

ボリンジャーバンドまとめ

「2シグマ逆張り」はリスクが大きいので、他条件を追加するなど十分に注意したほうがいいでしょう。また、それならば開発者のボリンジャーが言っている通り、「バンドウォーク」(2シグマを超えたときの順張り)の方がまだいいかもしれません。
個人的には、レンジからトレンドへの切り替わり「スクイーズとエクスパンション」を判断するのに使うのが適切な気がします。